犬の目がキラキラしてて楽しそう。「ワンちゃんたち遊んでもらってるんだね」という写真です。その通り、訓練士と一緒に遊んでいる写真です。でもこれ、訓練なんです。遊ぶこと=訓練なんですよ。 「え〜っっ、うそぉ?」と思われるかもしれませんが、ホントです。みなさんの訓練のイメージとは正反対かもしれませんね。
この犬たちは、1歳になり、パピーウォーカーさんのところから訓練センターに戻ってきたばかり。盲導犬のお仕事についてはまだ何も習ってません。皆さんのお家のワンちゃんと同じです。そんな新米さんたちが最初にするのは訓練士と遊ぶこと。犬たちが「人と遊ぶのって楽しいな」と感じたら大成功。「次は何するの?」と期待の眼差しを人に向けてきます。これが人と犬とのコミュニケーションの大きな一歩になります。引っ張りっこをしたり追いかけっこをしたりしながら「グッド」と声をかけます。「グッド」っていい言葉だな、楽しい言葉だな、と感じてくれるようになります。遊びながら名前も呼びます。犬たちは自分の名前が大好きなります。引っ張りっこをしながらグッド!ボール投げをしながらグッド!名前を呼ばれて振り返ったらグッド! 訓練士たちは満面の笑みで犬たちに語りかけます。犬たちは楽しいはずでしょ?
犬は楽しくなかったら進んで自分から何かしようとしません。逆に言うと、楽しかったら「したい」と思うんです。人と一緒に遊んだりほめてもらうことを通じて、楽しいな、と感じてもらうのがポイント。犬は楽しいことが大好きだから、どうしたら遊んでもらえるかな、ほめてもらえるかなと考える、これが盲導犬の訓練につながっていくんですね。
例えば「シット」する場合を例にあげてみましょう。はじめは大好きなおもちゃを犬の上にかざしたら、見上げるために自然とシットします。そこでグッドシット!とほめながらおもちゃで遊びます。次は、おもちゃは隠して手だけをかざしてシットと言ってみます。犬がシットしたらグッドとほめておもちゃを出し遊びます。そして少しずつおもちゃを出すタイミングを遅くしていき、手のかざすのもなくしていき、最終的にシットの言葉だけで座りようになります。
また、グッドについても洗練されていきます。最初はグッド=「おもちゃが楽しい・嬉しい」だったのが、グッド=「人と遊んでるのが楽しい・嬉しい」になり、さらに「グッドと言われることが楽しい・嬉しい」になります。犬は楽しいこと、嬉しいことはやりがたります。グッドと言ってもらうにはどうしたらいいのかな?と、考えてくれるので、訓練の基礎である「人と犬とのコミュニケーション」に欠かせないんですね。
なんとなく、遊ぶことが大切な訓練だとイメージできましたか?
グッドがわかってくると、さらに犬はのってきます。「ほら、ボク上手にヒール(左について)ができたよ、ねぇなでて、ほめて!」と言ってるでしょ?
センターでの生活にも慣れ、グッドもわかってきたら、いよいよハーネスをつけてみます。最初は短い時間、訓練士とただただ楽しく歩きます。写真の訓練犬はこの日がハーネス初体験でした。最初は「これなぁに?」とちょっと戸惑っていたみたい。耳に力が入っています。
「なんか知らないけどほめられて嬉しいな」 が、だんだん楽しくなってきて「ハーネスで歩くゲーム!」のはじまり。とにかく楽しく歩くことがポイント。
写真の犬は慎重派。人の半歩前を歩くのが苦手でしたが、大きな目をきょろきょろさせながらも、この瞬間、上手に歩くことができました。すかさず、グッド! 体をなでながらほめました。だんだん自信を持って歩けるようになりました。
グッドだったよ! 愛情と称賛を込めてハグ。私の好きな写真です。