青春デンデケデケデケ ロケ地:香川県観音寺市
今回ご紹介する『青春デンデケデケデケ』は香川・観音寺出身の作家芦原すなお氏の代表作、第27回文藝賞、
第105回直木賞を受賞した同名小説を原作にした青春映画です。
さぁ、あなたもこの映画を見て、四国の町並みのそこかしこに息づく、あなたの青春時代にプレイバックしてみませんか。
60年代半ばの観音寺を舞台にベンチャーズの『パイプライン』に天啓を受けた高校生の「僕」(林泰文)が、仲間とロックバンドを結成し、情熱 を燃やし続ける姿を大林宣彦監督がほのぼのと、そしてノスタルジック に描き出しています。
お寺の息子でバンドのメンバーの1人を好演した大森嘉之が、その年の新人賞を総なめしました。また、最近とくに脚光を浴びている浅野忠信 がバンドのメンバーの一員として出演しています。
 

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 「時をかける少女」「転校生」など思春期の少女を主人公に映画を撮ってきた大林宣彦監督が、初めて「元気な男の子」を描いたのが、「青春デンデケデケデケ」である。  
 60年代の観音寺市を舞台にした男子高校生たちのこの物語を僕は、胸がしめつけられる思いで見た。“大林イズム”とでも言うべき叙情的で情感タップリの音楽と映像に彩られていたのは、誰の心にもあるなつかしい思い出の数々だったのだから。白いシャツに黒ズボン。学帽をキチンとかぶっての自転車通学。讃岐弁とうどん。そして全てを優しく包み込む観音寺の街並みと瀬戸内海の輝き。誰もが必ず通り過ぎる青春時代特有の熱気と感傷を描いたこの映画は、間違いなく「すでに青春をノスタルジックに思い出す年代になっているかつての少年たち」のための永遠のバイブルなのである。  
 バンドを作ろうとする少年たちの生理を感覚的に表現するため、映画用35ミリフィルムではなく16ミリカメラで撮影し、さらに通常の劇映画の2倍以上のカット数から産み出された強烈なドライブ感とリズム感で物語を構築した大林監督の演出手法には、何より「元気印の男の子」への愛情が溢れている。「もと少年」だった僕には、それがとても心地よく感じたものである。 観音寺市を中心としたロケが行われたのは今から13年前のこと。13年という時間はロケ地の表情も変貌させた。ちっくんの自宅となった家も取り壊され、残っているのはレンガ塀だけだし、昭和の香りが濃密に残っていた商店街前の通りもカラー鋪装されたうえに、道幅も拡張されて撮影時の面影はあまりないように見える。  
 では、あの画面に溢れていた60年代の日々へのノスタルジィや、ちっくんたちの熱い思いはどこかに行ってしまったのだろうか。いや、それは決してなくなったり消えたりしてはいない。すべての人が、通り過ぎてしまった青春時代という季節の甘酸っぱさと素晴らしさを忘れない限り、映画の中の彼らは永遠に年をとらずに輝き続けているのである。  
 つい先日、ちっくんが全速力で走り抜けた三架橋をそんなことを思いながらブラブラと歩いてみた。クラブ活動を終えたらしい高校生カップルが自転車を押しながら「今からなんか食べて帰ろうで!」と讃岐弁で笑いあっている。その時、僕は確かにこの地に青春は今も息づいているのだと実感すると同時に、高校生だった数十年前の自分を思い出して鼻の奥の方がツン、と痛くなった。

  • 高松市出身。
  • 今までに鑑賞した映画は数千本にのぼる。自分の眼で見て自分の感性で確かめた映画の面白さ素晴らしさを、多くの人たちに語り、書き、話し、伝える事に大いなる喜びを感じる根っからの映画マニア。
  • 現在、高松市内の会社に勤務する傍ら、ラジオや新聞、映画関連イベントなどで「面白映画のナビゲーター」としてそのマニアぶりを大いに発揮している。
  • 映画資料やパンフレットの収集以外にも、軍用機ウォッチング、70年代アイドル歌謡曲、プラモデル製作と実に多趣味。冷えたビールと怪獣ゴジラと阪神タイガース をこよなく愛する、好奇心旺盛なA型人間。
  • 座右の銘は「青春とは心の様相をいう」。
心が弾むほどときめいたり、胸が痛くなるほど感動した映画を思い出してください。印象的なシーンを振り返ると必ず「心に残る風景」が浮かんでくるはずです。「映画と風景」には切っても切れない深い関係があるのです。このコーナーでは、四国を舞台にした映画をご紹介すると同時に、作品のポイント、見どころ、またロケ地情報などをお伝えしていきたいと思います。映画には人生のすべてが凝縮されています。ロケ地に立って映画を思い出すことで、あなた自身の感性がまた大きく輝くことがあるかも知れません。さあ、四国を巡る映画の旅に出かけてみましょう!




■香川県観音寺市
観音寺は、香川の西端、愛媛・徳島の県境いに位置し、古くから古刹観音寺門前町として、また三豊地方の経済 文化圏の中心として発展しました。 豊かな瀬戸内の海の幸の水揚げも多く、それをもとにした冷凍食品産業がここから発展したことでも知られています。 観音寺には今でも路地裏や、朝夕に地元の方々が世間話に花を咲かせる懐かしい風景がそこかしこに残っています。そして橋の上から眺める夕陽の美しさ。 たまにはのんびり歩いてみたり、立ち止まって自分の心象風景を確かめてみるのもいいかもしれませんね。