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市場に足を踏み入れると、わくわくと気持ちが弾むのは何故だろう。ずらり並んだむき出しの魚やら干物やらがいかにも美味しそうで、ぶらぶら歩いていると「ちょっと食べてみんかね?」と気軽に声をかけてくれる。スーパーやコンビニやデパートのショッピングでは決して味わうことのできない、懐かしくも猥雑であたたかい空気が流れているからであろうか。カツオの町、土佐の一本釣りの舞台としてしられる高知県中土佐町にある久礼大正町市場は、そんな市場の臨場感をダイレクトに感じさせてくれる場所だ。この町では午前中に出た漁船か帰ってくる時間に合わせて、午後1時からセリが始まる。そこで競り落とされた魚は、この市場へと運ばれてくる。だから品数が一番豊富なのは午後2時頃。観光客が訪ねてくるにも丁度いい頃合いだ。
市場が始まったのは明治の半ば。漁師のおかみさんたちが亭主や息子がとってきた小魚を並べていたそうだが、その名残は今も健在。商店街にはれっきとした店舗が軒を連ねているが、その隙問や商店街に至る路地にはお母ちゃんたちが開く露店がずらり。賑わいの情景に欠かせない存在となっている。
クエ、カツオ、ウルメイワシ、サバ、ウツボ。高知らしいラインナップについつい顔がほころぶ。イワシなどはピカピカと身が輝いており、それが何尾も盛りつけられて300円とか、信じられない値が付いている。土産には一塩ものがいい。さっと炙って食せば、土佐の海の味が口いっぱいに広がるであろう。そんなことを考えていたら、お腹がグゥと鳴った。家に帰るまで胃袋は我慢してくれそうもない。はて、と見渡すと商店街の中程に一軒の食堂を見つけた。今日のランチはここで決まり。
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