観光案内所のお姉さんに、「地酒が飲めて、ちょっと変わった旨いモノを食べさせてくれる店を教えて」と尋ねたら、数軒の候補を教えてくれた。池波正太郎が気に入りそうな店名だな、と思って選んだ店は大正解だった。清流のほとりにたたずむ蔵造りの建物。二世代と思しき老夫婦と若夫婦の4人組が店に入っていったので、一瞬、独り客は場違いだったかなと不安がよぎったが、引き戸を引いて安心した。ソファが置かれた、居心地の良さそうなカウンターがある。その端っこに腰をおろして、バックバーに並んだ一升瓶に眼を走らせる。せっかくなので店長おすすめの地酒を頂くことにした。少しだけ、翌日の仕事の段取りをしたら、頃合いを見計らったように酒とつまみが目の前に運ばれてきた。馥郁とした香りの「養老」は明治に創業した蔵元で醸される酒。すっきりとした端麗な味わいが、1日の疲れをスーッと洗い流してくれるようだ。行き付けの店の肌慣れた感じも心地よいが、初めての店の緊張は、酒の味をより鋭敏に感じさせるような気がする。 折り目正しく酔いとつきあえる、それは旅先の一献の醍醐味。
伊予の小京都・大洲で、江戸時代から旅館として親しまれていた油屋。その蔵を蘇らせた、風情溢れる食事処。南予の地酒や酒肴も豊富に揃う。
愛媛県大洲市大洲本町2丁目 電話0896-23-1139 営11:00〜16:00、17:00〜22:00 水曜休